一般的に関節リウマチのことを「リウマチ」と呼びますが、リウマチ性疾患は、関節だけではなく、骨・腱・筋肉といった、体を動かすのに必要な器官がこわばったり痛くなったりする病気のことを指します。
これらの疾患の中には「自己免疫現象(本来は細菌やウイルスを排除するための免疫系が自分自身の体を攻撃する現象)」が関係していることが多く、あわせて「膠原病リウマチ疾患」と呼びます。
主に整形外科で診療されている、加齢に伴い軟骨がすり減るなどして起きてくる「変形性膝関節症」「脊椎症」等はここでは除かせていただきます。
関節リウマチの好発年齢は30~50代であり70代以上での発症は稀とされてきましたが、近年、高齢で発症する関節リウマチを日常診療において多くみかけるようになってきております。
リウマトイド因子等検査が陰性のこともあり、診断が難しいこともしばしばですが、中には放置すると関節炎が重症化し、関節の破壊が進行することもあるため適切な診断と治療が重要となります。
なお、関節リウマチと似た症状を示すものに「手指の変形性関節症」等があり、レントゲンや血液検査等で診断をしますが、この場合は特に治療は必要ありません。
抗リウマチ薬の進歩は目覚ましいですが感染症等への抵抗力が低下することも多く、結核やニューモシスチス肺炎など特殊な感染症の危険もあるため、特に高齢の方では注意して使用していく必要があります。
また、関節リウマチの方では間質性肺炎等の呼吸器の病気が同時におきてくることも多く、時としてかなり危険な状態になる場合もあるため、状況に応じて高次医療機関とも連携して診療していく場合もあります。
高齢者に多く重症になる膠原病として、血管炎症候群があります。好発年齢は50~60代とされてきましたが、それ以降で発症する方も増えてきています。特に重要なものとして以下の2つがあります。
これらの疾患に関しては 特殊な検査などが必要なことも多く、一時的に高次医療機関で診断や治療方針を決めていただき、落ち着いたら、当院でも診療していく方針で対応しています。
痛風や偽痛風は、それぞれ尿酸塩、ピロリン酸カルシウムの結晶が関節に炎症を起こして発症します。痛風は若い方(主に男性)でも見られますが高齢者でも少なくありません。偽痛風は高齢になるほど多くみられる疾患で、強い関節の腫れや発熱を伴います。レントゲンや関節液検査等で診断し、非ステロイド性抗炎症薬や関節注射での治療が一般的です。
その他の膠原病として「皮膚筋炎」「多発性筋炎」「強皮症」は、高齢者になってから発見されるケースも多いです。いずれの場合も、高次医療機関と連携して診療にあたっています。
心配な症状がある方は、リウマチ・アレルギー内科にご相談ください。