医療法人弘仁会 板倉病院

船橋市の機能強化型在宅療養支援病院・救急告示病院
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コラム

ヘリコバクター・ピロリ菌

外科:中島 洋介
ピロリ菌

ピロリ菌は胃に住まう菌で、胃の粘膜を傷害したり胃炎を起こしたりさせることが 分かっています。感染ルートとして、主に

  • A. 開発途上国などでは井戸水を介しての感染
  • B. 食べ物や唾液を介して親から子への感染
  • C. 保育所や幼稚園などでの集団感染
などが言われています。いずれも免疫力のまだ発達していない幼児の時に感染すると考えられています。

ピロリ菌は胃内で様々な有害物質を作って胃粘膜を傷害します。その結果、急性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍といった病気を起こします。胃潰瘍・十二指腸潰瘍の約90%はピロリ菌が影響していると言われています。また、胃がんのほとんどはピロリ菌感染が根底にあり、ピロリ菌に長期間 感染していると胃がんが発生しやすくなります。その他にも胃マルトリンパ腫、機能性ディスペプシア、特発性血小板減少性紫斑病の原因にもなります。

ピロリ菌を調べる方法には

  • ①尿素呼気試験(吐き出した息の中の尿素値を調べる)
  • ②便中ピロリ抗原検査(便にピロリ菌抗原があるかを調べる)
  • ③血清抗体検査(血液内にピロリ菌に対する抗体があるかを調べる)
  • ④内視鏡生検による方法
など様々あります。

尿素呼気試験が最も簡便でかつ精度も高い検査ですが、どの方法が良いか医師にお尋ね下さい。
除菌は3種類の薬(2種類の抗生剤と1種類の胃薬)を1週間内服して行います。内服から最低1ヶ月以上空けて再度ピロリ菌がいるか調べる必要があります。除菌が成功する確率は、1回目で約8割、2回目(2次除菌と言います)までやって約9割と言われています。

ピロリ菌は免疫力の低い幼児期に感染しますので、大人になってからの再感染は基本的に心配しなくて大丈夫です。一度検査してピロリ菌のいなかった方や、ピロリ菌除菌に成功した方は再度調べる必要はありません。しかしピロリ菌を除菌したとしても長期に感染していた場合は、やはりその後も胃がん発生のリスクがあります。(除菌することによってその発生リスクは数分の1に下げることができるわけですが)そのため、検診や人間ドックなどで定期的にバリウム検査や胃カメラなどを行うことは重要です。

ピロリ菌に感染している人が、全て胃がんになるわけではありません。しかし、胃がんのほとんどがピロリ菌に関係しているのは明らかになっていますので、胃がん予防のためにピロリ菌を調べ除菌することは非常に重要です。また、胃の調子が悪いという人も一度調べてみることをお勧めします。

(2018.2)