成人の2人に1人が患っていると言われる痔ですが、肛門の3大疾患とは、痔核(いぼ痔)痔瘻(あな痔)裂肛(きれ痔)のことを言います。
今回は、このうち6割以上を占める痔核について、当院の治療法も含めてご説明したいと思います。
腹腔内圧が上昇することにより肛門の静脈叢がうっ血し怒張してきます。また粘膜の下を支える結合織がゆるみ、静脈叢が肛門から脱出するようになります。
硬い便・便秘・下痢・長時間同じ姿勢でいる・冷え・ストレスなどが原因となります。妊娠・出産が誘発することもあります。
肛門と直腸の境界にある歯状線より上方にできるものを内痔核、下方にできるものを外痔核と言います。主な症状は出血と疼痛です。
内痔核は脱出の程度によってⅠ度からⅣ度に分類されます。
Ⅰ度 | 排便時、出血するが脱出しない |
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Ⅱ度 | 排便時、脱出するが自然に戻る |
Ⅲ度 | 排便時 脱出し、指で押さないと戻らない |
Ⅳ度 | 常に脱出した状態で、指で押しても戻らない |
保存的治療 | 軟膏・坐薬・内服薬で治療します。 |
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硬化療法 | 硬化剤を注射することにより、痔に流入する血液量を減らし、痔を硬くして粘膜に固着・固定させる方法です。 |
結紮療法 | 結紮器を用いて、輪ゴムで内痔核の根元を縛って壊死脱落させる方法です。 |
レーザー照射療法 | レーザーにより、痔核を熱変性させる治療法です。 |
結紮切除(根治術) | 血管を根部で結紮し、痔核を切除します。 |
当院では緊急を要する場合を除いて、まず坐薬などを用い保存的に治療を始めます。2~3カ月経過を観察したのち、先に述べたⅢ・Ⅳ度の状態で、かつ患者様ご本人の症状・訴えを考慮し、手術を検討します。手術法は結紮切除術を基本に、ジオン注射による硬化療法等、2~4泊の入院で行っております。
お悩みの方は恥ずかしがらず、一度、外科診察に足を運んでみて下さい。