医療法人弘仁会 板倉病院

船橋市の機能強化型在宅療養支援病院・救急告示病院
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腰痛の原因と治療

整形外科:田中 秀和

腰が痛くなることを全てひっくるめて私たちは『腰痛』と呼んでいますが、その種類は様々で、すぐに検査や治療をしなければならないもの、様子をみる(経過観察)でよいものもあります。

腰痛の原因 腰痛の原因として
  1. 脊椎に原因のある腰痛
    • ① 加齢・変性によるもの
      (変形性脊椎症、腰椎すべり症、脊柱管狭窄症、骨粗鬆症、圧迫骨折など)
    • ② 椎間板によるもの(椎間板ヘルニア、椎間板症など)
    • ③ 感染症(化膿性脊椎炎・椎間板炎、腸腰筋膿瘍など)
    • ④ 悪性腫瘍(骨転移など)
    進行することで脊髄・神経根を圧迫するとシビレ、下肢筋力低下、歩行障害、排尿障害などが生じてきます。
  2. 心因性の腰痛
    ストレス、家庭・社会的環境因子(仕事、人間関係など)が関与するもの
  3. うつ病など精神神経疾患
  4. 姿勢性または筋性腰痛
    同じ姿勢を長く続けていると強くなり、体を動かすと軽くなるが、疲れるとまた痛くなる(運動、仕事などによる筋性疲労、腰椎前彎の増強・側彎変形など)
  5. 内臓疾患
    胃潰瘍など消化器疾患、胆嚢炎、胆石症、膵臓疾患、尿管結石、大動脈瘤、 更年期障害、子宮内膜症などあります。

腰痛の約80%はレントゲンなど画像検査では原因の特定できない「非特異的腰痛(腰痛症)」と言われています。生活習慣・社会的環境調整、ストレッチ・運動訓練などで改善が期待できると考えられます。

腰痛治療には、安静、装具療法(コルセットなど)、薬物治療、ブロック注射、手術療法、理学療法(温熱治療、牽引、運動訓練など)、生活改善などがあります。腰痛の原因を正しく把握し治療を開始することが大切となります。

放っておいてよくならない、徐々に症状が悪化する場合は精査が必要と考えます。予期せぬ体重減少、栄養状態低下、発熱、癌の既往がある、ステロイド・免疫抑制薬内服などはX線検査に加え、血液検査、CT、MRIなどをお勧めします。整形外科にご相談ください。

(2016.10)